ロータリーの誕生
20世紀初頭のアメリカ社会、特にシカゴは著しい社会経済の発展の影で商業道徳が欠如し、人心の荒れすさんだ街であった。ここに事務所を構えていた青年弁護士ポール・P・ハリスはその状況を憂え、3人の友人と語らって、お互いに公正な取引をし、信頼の中から友情を育むロータリークラブ(RC)の設立を考えた。
1905年(明治38年)2月23日、第1回の会合を開きシカゴRCが誕生、この日がロータリーの創立日となった。ロータリーとは、会員が持ち回りで集会を各自の事務所で開いたことから名付けられ、やがて仲間同士の信頼は職業倫理を重んじ、さらに職業を通じ社会にも目を向ける奉仕理念を希求。今や国境を越え200以上の国と地域に広められ、クラブ数躍3万3千・会員数約120万名に達し、奉仕の理想に貢献する国際組織としての発展が期待されている。
※RC〈Rotary Clubの略〉
国際ロータリー
国際ロータリー(RI)は、世界中のRCの連合体であり、RI世界本部はアメリカのイリノイ州エバンストンにある。
年1回の国際大会では、RI会長・理事その他役員が選ばれRIの方針を決めるとともに、人種・民族を越えた友情と親睦の機会となっており、2004年5月には大阪で、2005年6月にはシカゴで創立100周年記念国際大会が開催された。
ロータリアンは各クラブの会員であり、RIは各ロータリークラブが会員となる。
※RI〈国際ロータリー RotaryInternationalの略〉
規定審議会(Councilon Legislation)
RI組織規定を改正する立法機関が規定審議会である。3年に一度4月頃を目処に招集され、各地区からRI役員経験者の中より1名の代表議員が選任され審議会に出席、クラブや地区・RI理事会から提出された22年となる。
日本のロータリー
わが国のロータリークラブは1920年(大正9年)10月20日、当時三井銀行の重役であった米山梅吉氏が初めて東京にこれを創立し、翌21年4月1日、世界で855番目のクラブとして加盟承認された。
その後太平洋戦争の結果、一時国際ロータリーから脱退(1940年)するのやむなきに至ったが、その間もロータリーの精神を堅持してその真髄と組織を維持し、戦後国際ロータリーに復帰(1949年)するやその発展は目覚ましく、現在、北は北海道から南は沖縄まで、クラブ数2,274・会員数89,302名(2016年調べ)に達し、なおすべての都市、すべての町にその理想の翼を広げる努力を続けている。
会員は地域内の理想に燃える堅実な実業家・専門職業人の中から選出され、週1回のクラブ例会によって各種職域人の交友を通じてロータリーの掲げるより多くの奉仕の機会を得ようとはかっている。
ロータリーの目的と指針
ロータリーでは、社会生活における人間の幸福は他人への思いやりと助け合いにあるとして、国際奉仕・社会奉仕・職業奉仕・クラブ奉仕の4部門を設け(2010年規定審議会により、新世代奉仕が加わり5部門となった)、個人としてもクラブとしても「有益な事業の基礎として奉仕の理想を鼓吹・育成すること」を目的としており、そのための綱領を制定している。綱領は要約する
- 広く知己を求めて奉仕の機会を多く持つ。
- 各自の職業に誇りをもってその道徳的基準を高める。
- 公私の別なく奉仕の理想を実行する。
- 国際的にも理想と友情を広め平和を促進する。
という内容の4つの道を明示している。又、各自ロータリアンの行動規範・職業倫理訓として「4つのテスト」に照らし社会生活をおくるよう勧めている。その他、ロータリアンとしての指針を占めるものとして標語や職業宣言などがある。
◆第2500地区・ガバナー・地区大会
ロータリーでは全世界を一定の地理的区域で分け、日本国内地区数は34地区・3ゾーンに分かれ、北海道は第1ゾーンに属し、道東・道北が第2500地区、道央・道南が第2510地区の2つに分かれている。当地区は67クラブ会員数約2300人の規模である。
各地区には地区より指名され国際大会で選出されたガバナーが、RIの役員として地区内各クラブの管理監督を行うこととなっている。ガバナーは、地区大会を主宰し、各クラブを公式訪問することでクラブへの助言をはかると共に、RIと各クラブとの友好関係を増進する任務を負っている。
次年度ガバナーをガバナー・エレクト、それ以後のガバナー予定者をガバナー・ノミニーと呼び、過去のガバナーをパスト・ガバナーと呼ぶ。当クラブからは、1961〜62年度に故 両角克治、1996〜97年度に故 坂本一、2008〜09年度に足立功一ガバナーを輩出している。またスポンサークラブの釧路RCには清水幸彦パスト・ガバナー(1981〜82年度)と小船井修一パスト・ガバナー(2002〜03年度)が在籍しており、当クラブが釧路西RCと共同スポンサーである釧路ベイRCには葭本正美パスト・ガバナー(2013〜14年度)が在籍されてる。
◆PETS・地区協議会
ガバナー・エレクトが、次年度のRI会長テーマや地区方針をクラブの会長エレクトに伝達するために研修セミナーを年度前に開催することをPETS(ペッツ)という。また各クラブの次年度役職者にRIテーマや地区方針・委員会方針を説明・検討・協議する場を地区協議会(District Assembly)という。いずれもガバナー・エレクトが国際会議出席後の3〜5月に開催される
※PETS〈Presidents-Elect Training Seminarの略〉
◆第7分区・ガバナー補佐・IM
地区内は更に幾つかのグループに分かれ、第2500地区は8分区にされている。釧路北RCは第7分区に所属し、釧路RC・釧路西RC・釧路南RC・釧路東RC・白糠RC・音別RC・釧路ベイRCの8クラブが存在し、会員数約310名である。
分区にはガバナーより任命を受けたガバナー補佐が、ガバナーの任務を補佐し分区内の各クラブを支援する役務を負っている。またガバナー補佐は、年に1度、親睦とロータリーの奉仕の理想を勉強するために分区内で開かれる都市連合会(IM Intercity Meedtingの略)を準備することとなっている。
※ガバナー補佐〈Assistant Governor、RIの地区リーダーシッププラン(DLP)方針で地区のリーダーを養成する目的で設置された役職。従来は分区代理がその任を負っていたが、2002〜03年度から第2500地区はこの制度を公式採用することとなった〉
◆釧路北ロータリークラブ
わがロータリークラブは、1958年(昭和33年)5月28日に釧路RCのスポンサーによりチャーターメンバー23名で設立、当時平均年齢39歳の日本一若いクラブであった。同年8月18日にRIより加盟認証を受け、その日がクラブの創立記念日となっている。(特別代表 釧路RC 故 嵯峨旻氏、初代会長 故 米内冨久司氏、日本で266番目、道内12番目 認証番号13524)
1961〜62年度に、故 両角克治氏が350地区(当時)のガバナーに就任。以降1996〜97年度に第2500地区ガバナーとして故坂本一氏、2008〜09年度に足立功一会員がガバナーに就任。その間3度の地区大会を成功させ、これまでの数々の奉仕活動の実績は、他クラブばかりでなく地域社会からも高い評価を受けている。
1968年5月には、浜中RC(特別代表 故 橋本雄介氏)1970年6月には、釧路西RC(特別代表 故 曽宇昇進氏)1971年11月には、釧路北ローターアクトクラブ(RAC)をスポンサーとなって誕生させ、1997年5月には、釧路西RCと共同スポンサーとなり釧路ベイRCを設立させた。(特別代表 村井 力氏)
今や、友情で結ばれた私心のない実直なクラブの気風とその行動力は、釧路北RCの歴史をきざむ大きな原動力となっている。2008年8月には創立50周年を迎え、2009年6月6日記念式典及び祝賀会を開催した。また、記念事業として「湿原の風アリーナ釧路」前庭モニュメント時計を寄贈した。2018年8月に創立60周年を迎え、同年8月25日記念式典及び祝賀会を開催し、同年10月4日に記念事業として講演会を開催した。
※特別代表〈新クラブ結成時、ガバナーより命を受け設立指導をする重要な任務を負う〉
会員の資格
定款で定められた「善良な成人であって、職業上、および(または)地域社会において良い世評を受けている者」によってクラブは構成されている。
職業分類
会員が携わっている商社、会社、団体等の主要かつ一般世間がそのように認めている活動、または個人の事業か専門職務、あるいは本人の社会奉仕活動によって分類される。
会員の種類
会員には、会員資格を有した正会員と名誉会員、終身会員の3種類がある。名誉会員は、ロータリーの理想推進のために賞賛に値する奉仕をした人を理事会の決定により推挙する。終身会員は永年正会員として当クラブに在籍し、正当な理由でやむなく退会した会員を、ロータリーファミリーの一員として、当クラブの終身会員として理事会が承認した場合に登録できる。
出席免除会員
65歳以上でロータリー歴と会員年齢の合計が85年以上になると、本人の申請により出席が免除される。その他十分な理由があると理事会が認めた場合は、1年間の範囲において出席が免除される。(2010年規定審議会で改定)
ロータリアンとしての基本義務/会費・出席(メークアップ)・購読
ロータリアンとして、定款・細則を遵守し、綱領の原則に従って行動しなければならないのはもちろんであるが、会費納入と例会出席及び機関雑誌の購読は重要な基本義務である。
- ロータリーの会計年度は、7月1日から翌年の6月30日までとなっているが、年2回上期と下期とに分け各7月1日と1月1日に半期分を納入することになっている。会費等未納の場合は、会員身分が終結することもありうる。
- 例会は通常年45〜50回開催されるが、各半期間において所属クラブの30%以上、他クラブでメークアップ(次席補填)をすることにより、50%以上の出席をしなければならない。又連続4回例会に出席せずメークアップもなされていない場合は、会員身分が終結することもありうる。メークアップをする時は、訪問クラブが決めたビジター料(通常食事代)を支払うとともに、メークアップカードを訪問クラブ幹事より発行してもらうか、または口頭でメークアップしたことを所属クラブの出席委員会に報告しなければならない。また出席とみなされるためには、例会充当時間の60%以上に出席することが原則となっている。
- その他、RI公認機関誌である「ロータリーの友」の購読義務等がある。
クラブの組織(総会・理事会・役員理事・SAA)
会長は、エレクト時の年次総会(12月第1例会)で選ばれた会長ノミニー(次年度会長)・副会長・幹事・会計・と直前会長の各役員と、同じく総会で選出された数名の理事で理事会を構成する。理事会はクラブの管理・運営にあたり、総会を除いてクラブの最終決議機関である。
会場監督(SAA)は、理事会構成員ではないが役員として例会をはじめ諸会議が秩序正しく運営されるよう監督する役目を負っている。また、会計監査も会場監督と同様に役員として会計業務を監査する。> ※SAA(エス・エイ・エイ Sergeant at Arms 略)
会長は、役員理事の中より各奉仕部門の大枠を重視した部門担当者を任命し、部門ごとに特定分野を担当する常設委員会を設けることで奉仕活動を行うことになっている。
会長・幹事
会長はクラブを代表し、例会や総会・理事会等の議長を務め、クラブの管理・運営の最高責任者である。前々年度の総会
で選出されノミニーとなり、前年度スタート時より会長エレクトとしてその任にあたり、7月1日をもって会長に就任する。幹事は会員の記録を保管し、諸会合の通知・記録・議事録等を作成し保管する。RIや地区への会員報告や出席報告他諸手続を遂行し、その職務はクラブの運営管理全般を掌握することとなる。
5大奉仕部門(クラブ奉仕・職業奉仕・社会奉仕・国際奉仕・青少年奉仕)
これまでロータリーの奉仕活動はクラブ・職業・社会・国際の4大奉仕に分けて理念の構築・実践を図ってきたが、2010年の規定審議会で奉仕の第5部門として青少年奉仕部門を新たに加えることが決定された。
クラブ奉仕は、クラブの管理・運営・情報が円滑に機能するよう会員が行動する奉仕活動である。職業奉仕は個人としてもクラブとしても、その職業上のあらゆる関係においてすべての人々と奉仕の理想を分かち合う責務と会員の職業倫理を鼓吹育成することにある。社会奉仕は、地域ニーズを踏まえ地域の人々の生活の質を高めるために貢献する奉仕活動。国際奉仕は国際理解・親善・平和を推進するための奉仕活動。そして青少年奉仕は、青少年の社会奉仕プロジェクト及び国際プロジェクトへの参加を促し、時代を担う青少年の指導力及び健全育成を図ることにある。
CLP(次項参照)の導入により、組織編成は必ずしも5大奉仕に分類する必要はないものの、奉仕活動の理念の根幹は5大奉仕にあり、特に我がクラブはローターアクト、新世代育成基金事業を含め、永年新世代奉仕に力を注いでいる。
C・L・P(クラブ・リーダーシップ・プラン Club Leadership Planの略)
RI理事会は、効果的なクラブの発展を促すとの理由でCLPを2004年に推奨することを決定し、第2500地区でも2006〜07年度から各クラブで検討するように要請している。内容は、これまでの4大奉仕部門に分かれた多くの小委員会を廃止し、運営管理・広報・増強・財団・奉仕プロジェクトの5つの委員会に簡素化し、必要に応じ小委員会を設けるというものである。委員も活動の継続性を持たせるため3年委員とすることになっている。RIはそのための標準細則を別途提示推奨しているが、守るべき目的やこれまでの5大奉仕理念とCLP導入による活動が大きく乖離する結果にならないのかが危惧されている。当クラブではその懸念を踏まえ2007〜08年度よりCLPの導入による独自の組織構成に踏み切った。(前項参照)
ロータリーの特別月間・特別週間
クラブだけでなく、ロータリアンがロータリーの活動に参加するよう強調するためにRIが指定した月間をいう。会員増強・新クラブ結成推進月間(8月)、基本的教育と識字率向上月間と日本だけのロータリーの友月間(9月)、経済と地域社会の発展月間と日本だけの米山月間(10月)、ロータリー財団月間(11月)、疾病予防と治療月間(12月)、職業奉仕月間(1月)、平和と紛争予防/紛争解決月間(2月)、水と衛生月間(3月)、母子の健康月間(4月)、青少年奉仕月間(5月)、ロータリー親睦活動月間(6月)等がある。この他に特別の週間として「世界インターアクト週間(11月5日を含む一週間)」「追悼記念週間(1月27日を含む一週間)」「世界理解と平和週間(2月23日を含む一週間)「世界ローターアクト週間(3月13日を含む一週間、日本では気候の関係で9月10日をアクトの日と定めている)」がある。
ロータリーの記念日
釧路北ロータリークラブの創立記念日は、RIの認証を受けた8月18日。国際ロータリークラブの創立記念日はポール・P ・ハリス他3人の友人が第1回の会合を持った2月23日となっている。
例会
各クラブは、毎週定例日に例会を開催することが義務づけられており、わがクラブは、原則毎週水曜日12時30分より13時30分となっている。今年度は、45回開催され、夜間例会や移動例会の時は会場と時間が変更になる場合がある。(夜間例会は18時30分より)
クラブ協議会(Club Assemblies)
クラブ内においてロータリーのプログラムを調整・発展させるために開かれる役員・理事および特定分野を担当する委員会委員長の会議をいう。予定者時を含め4〜6回開催。
クラブ討論会(Club Forum)
全会員を対象として5大奉仕部門の中から問題点を抽出し、より良い奉仕活動の実践を目指して、話し合いをしたり討議をしたりする結論を必要としない公式会合をいう。
家庭集会(Informal Meeting)
少人数が集まって自由に討論し親睦を深めることを目的とした会合で、かつて炉辺会合と呼ばれていた。本来会員の家で開かれ、当クラブではロータリー研修委員会が担当し年数回開催される。
ニコニコ献金(Smile Box)
例会出席時に、個人的な慶事などの理由により善意の献金をすることが習慣となっている(役職への就任・開業・新築・結婚・還暦等)。金額は自由で強制されるものではないが、会員の慶事を全員で讃え合うことはロータリー親睦の原点ともなっている(資金はクラブの活動費に充当される)。
ローターアクトクラブ(RAC Rotaract Club)
RC提唱の18〜30歳までの青年男女によって構成される世界的青年団体のクラブでありその目的は、青年男女が個々の能力の開発に当たって役立つ知識や技能を高め、それぞれの地域社会におけるニーズに取り組み、親睦と奉仕生活を通じて全世界の人々の間に、よりよい信頼関係を推進するための機会を提供することである。現在、釧路市内唯一の釧路北RACは、1971年(昭和46年)当クラブの提唱により発足した。〈例会日 毎月7・22日、土日は翌月曜日、祭日は翌日
19:30より、会場 釧路交流プラザさいわい〉。毎年3月13日を含めた一週間は、世界ローターアクト週間となっている。また日本では9月10日をローターアクトの日として前後に奉仕活動を行っている。2011年10月に40周年の記念として清掃活動と植樹を行った。
インターアクトクラブ(IAC Interact Club)
インターアクトとは、奉仕と国際理解に貢献する青少年のためのRC提唱の世界的活動団体で、高校生または年齢10〜18歳までの少年がインターアクトクラブ(IAC)に入会できることとなっている。わがクラブでは1965年当時の釧路第一高校にIACを設立するも同行廃校により解散。現在釧路市内では、釧路RCが提唱した武修館高校のIACがある。
ロータリーの徽章
ロータリーのマークは、6本の輻と24輪歯と楔穴を備えた歯車から成っている。徽章の色は、ロイヤルブルーと金色でロータリアンが襟ピンとして誇りを持って着用するに相応しいデザインである。
ロータリーの友
RIはロータリーの草創期、会合がだれかけた時に一人の会員が「みんなで歌をうたおうではないか」と呼びかけたのがきっかけで、会合で歌を合唱するようになったといわれる。日本で歌われている「奉仕の理想」や「我等の生業」は、1935年(昭和10年)京都の地区大会で日本のロータリーソングとして発表された。
「釧路北RCソング」は創立30周年記念によせて、当時の当クラブの会員であった米澤豊市氏が作詞したものである。